1966年に武井保雄氏によって創業された武富士は、銀行が10日かかる融資に至るまでの時間をわずか30分で実施するなど、画期的な手法でついには大手金融機関を営業利益で上回るほどにまで成長していきます。
2000年代に入り、数々の規制によって倒産の憂き目に遭いましたが、それまで業績と時代を生き抜いた様は、永遠に語り継がれることでしょう。

- 1966年 1月:東京都板橋区にて団地金融「富士商事」を創業
- 1974年12月:株式会社武富士へ名称変更
- 1975年10月:融資残高が100億円を突破
- 1976年 5月:本社が池袋サンシャイン60ビルへ移転
- 1979年 6月:融資残高が1000億円を突破
- 1984年 9月:本社ビルが八重洲に完成して移転
- 1991年 2月:融資残高が5,000億円を突破
- 1992年 5月:本社ビルが新宿に完成して移転
- 1996年 8月:株式店頭公開
- 1996年 9月:融資残高が1兆円を突破
- 1998年12月:株式東証1部上場
- 2000年 3月:ロンドン証券取引所上場
- 2001年 5月:青森県弘前支店で強盗放火殺人事件が勃発
- 2002年11月:日本経済団体連合会に加盟する
- 2006年 8月:創業者の武井保雄氏逝去
- 2009年12月:資金繰り悪化により融資を停止
- 2010年 9月:会社更生手続きを決定、負債総額は4,336億円
- 2010年10月:東証1部の上場廃止
- 2010年10月:会社更生手続き開始
- 2010年11月:ロンドン証券取引所上場廃止
- 2012年 3月:ロプロに事業譲渡
- 2017年 3月:会社更生手続き終了によって消滅

1997年当時の企業データ
- 本社所在地/〒163-8654 東京都新宿区西新宿8-15-1
- 代表者/武井保雄(たけい・やすお) 創業/昭和41年
- 社是社訓/仕事には厳しく人には愛情を、商人道に徹せよ、感謝と奉仕の心を育め
- 従業員/3,902人(男1,835人、女2,067人) 資本金/304億7,790万円
- 融資残高/1兆1,389億6,500万円(平成9年9月) 前年比/13.8%
- 事業内容/消費者金融、総合リース、レジャー関連、不動産賃貸、ベンチャーキャピタル
- 営業所等/本社(東京)支店350、無人契約店舗322
- 職種/営業(管理・窓口営業)・情報システム・財務・経理・秘書・人事他
- 初任給/大卒24万300円 賞与/年間5.5ヵ月 勤務時間/9:00〜18:00(実働8時間)
- 休日休暇/年間休日119日、有給(初年度10日、最高20日)、年末年始、夏季、慶弔、計画休暇
- 住宅手当/月額13,000〜16,000(地域により異なる)借上社宅制度
- 社員寮/(所在地 都内4カ所(男2、女2)埼玉、千葉、神奈川、それぞれ一カ所
- 女性待遇/女性の最高役職 次長、女性の役職者数193名、女子再雇用有
- 96年度採用実績/大卒男子(298名)大卒女子(120名)短大卒(47名)、専門学校卒(15名)
- 97年度採用実績/大卒男子(197名)大卒女子(96名)短大卒(49名)、専門学校卒(8名)
- 98年度採用予定/大卒男子(238名)大卒女子(128名)短大卒(25名)、専門学校卒(12名)
- 採用実績校/全国国公立私立大学及び短大・専門学校
- 採用試験科目/面接、一般常識、適性検査
テレビコマーシャル
現在、消費者金融のテレビコマーシャルは2006年の貸金業規制法改正により、各社月間100本以内、午前7時から午前9時までの間と午後5時から午後10時までの間は放送できない決まりになっていますが、それ以前はゴールデンタイムの時間帯に頻繁に消費者金融のCMが流されていた時代がありました。
この時代のテレビCMによって利用者が急増したと言われていますが、これによって多くの多重債務者や自殺者を生み出したことも忘れてはなりません。
1995年金融関連経常利益ランキング
1995年は金融界にとって衝撃の生まれた年になりました。バブル崩壊と不景気による不良債権に苦しむ銀行業界を後目に、消費者金融がランキングトップに躍り出たのです。しかも、トップ10に3社も入る有様で、当時の日経流通新聞には「大手消費者金融、都銀を超えた!低金利背景に躍進」との見出しで紹介しています。
当時の口座数は、武富士が182万8000口座(前年度24万6000増)、アコムが171万5000口座(前年度6万5000増)、といずれも前年度比を大きく上回っています。貸付残高は武富士が7933億円(前年度1283億円増)と圧倒的な飛躍を見せています。

武富士(707億9700万円). 当時の上限金利29.200%

さくら銀行(660億円)

日本興業銀行(571億5500万円)

第一勧業銀行(541億6000万円)

東京銀行(541億5300万円)

アコム(538億3900万円). 当時の上限金利28.470%

プロミス(500億2600万円)

三和銀行(492億3600万円)

三菱銀行(450億円)

静岡銀行(425億2700万円)

レイク(261億2100万円)当時の上限金利29.200%

三洋信販(225億2000万円)当時の上限金利29.000%

アイフル(208億7300万円)当時の上限金利29.200%
女子バレー部、武富士バンブー
2001年、武富士は廃部となったイトーヨーカードープリオールを引き継ぎ、女子バレーのVリーグへ参入します。その後、2009年までバレー部は継続し、Vリーグ準優勝1回の実績を誇ります。
参戦当初は低迷したものの、2005年にはアメリカ代表選手を引き入れて、リーグ戦3位にまで登りつめてきます。翌年には元ロシア代表選手の参入で4位の結果を残します。2009年、本社の業績悪化により廃部となりました。

武富士御殿「真正館」
東京都杉並区富士見ヶ丘に武富士の巨大な研修施設がありました。研修施設とは名ばかりの、実際はオーナー一族が居住していた邸宅であったわけですが、総工費30億円、敷地面積1500坪、延床面積600坪の鉄筋二階建てを誇る管内には、大ホールや地下プールや大浴場まで備わっていたそうです。
毎月ここの真正館で上級社員の研修が行われていたそうですが、管内には社員が宿泊できる施設もあり、研修後は当時CMに出演していた武富士ダンサーズが招かれてダンスを披露していたといいます。
